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アサヒ弓具店 弓師・矢師
菅谷 武 (すがや たけし) 吉川 登(よしかわ のぼる)
 

職人館・菅谷 武氏弓師
菅谷 武
(TAKESHI SUGAYA)

<弓師歴55年>
  23歳から弓作りの道へ。弓の製作工程はもちろんのこと、個人個人にあったカスタマイズやメンテナンスの細部にまで、全てを任せられる、数少ない弓師。 

職人館・吉川 登氏
矢師
吉川 登
(NOBORU YOSHIKAWA)

<矢師歴56年>
 中学を卒業と同時に矢の世界へ門を叩く。矢の継ぎ足しから、毟れた羽の再生まで、まったくの継ぎ目のない完璧な仕上がりに矧師(はぎし)として定評あり。

職人館・弓の断面図
弓の断面図
内部は幾重にも重なっており、 弓の強度と撓りを支える。
職人館・矢
手入れの行き届いた矢
職人館・若手職人石山 大樹さん
次世代を担う若手職人  石山大樹氏

素材を一から、その卓越した技で見事なまでの弓矢を作る職人、菅谷氏と吉川氏。お二人の優しい目の奥に職人としての厳しさがなければ、この仕事は務まらないだろう。


職人館・弓師 菅谷 武 制作工程

弓の制作工程は、昔ならではの手法で、とても時間と手間がかかる作業だ。
簡単に弓の制作工程を説明する。

(1) 2ヶ月から4ヶ月自然乾燥の後、火入れした弓竹は握りの部分を中心にして削り、弓の両端になるほど少し薄くなるように、むらなく仕上げ削りを行う。
(2) 弓竹で弓芯を挟み、関板を付けてロープを巻き上げて、80から100本のクサビで締め付けながら、半円状に反りをつけ打ち込み接着する。
(3) クサビをはずし、張り台で弓の型にする。弦を付けて上下の形など出来具合をみながら足で踏んで弓型を整えていく。この荒張りで弓の良否が決まる。
(4)荒張りした弓を30日ぐらい張り込んで、型の落ち着いたところで、側木、関板の部分を鉋や小刀でその弓に合った削り方をする。
(5)仕上がった弓をさらに張り込んで調整した後、籐装束をつけて完成する。

「竹を割らないようにそりを打ち込むところが一番大変。竹は物にもよるし、その日の湿度や気温の変化に竹の状態が左右されてしまうからね。」と菅谷さん。自然の物を扱っているため、その微妙なバランスを見抜く力は日々の鍛錬の賜物であり、まさに職人技というにふさわしいだろう。
また、元来魚の浮き袋を煮出した汁を固めたものを「膠」(にかわ)と言い接着剤として使っていた。弓を作る弓師はこれを「にべ」と呼ぶ。最近では合成接着剤で作られる弓が主流だそうだ。

職人館 矢師
矢についての制作工程を説明する。
(1)箆(の)[篠竹を真っ直ぐに矯めたもの]の長さ、目方を揃える。
(2)筈を入れ、羽に膠(にかわ)をつけ糸で巻き付ける。
(3)羽の上下、筈の下に絹糸を巻き塗料を塗る。
(4)羽を大鋏で切り、形を整える。
(5)箆(の)にニスを塗り、艶を出す。

(6)矢の先に鏃(やじり)を入れる。

昔の人は強度、反発力、耐久性を実現するために一本の弓や、矢にこれだけの知恵をつぎ込んできた。
弓を一つ作るのにもこれだけの業と時間と根気のかかる作業である。
そのためか、自然そのままを生かした弓矢作りをしている所はめっきり少なくなってきているという。こういった先人の知恵と共に今現代が忘れかけているのは精神的な豊かさ、力強さ、ではないだろうか。
こういった“本物”を直に手に取ってみたいものだ。
取材中にカメラを向け「笑ってください」と言ったところ、「職人は笑わねえんだよ」とはにかみながら言われた。
その穏やかな笑顔に、「キザでなく野暮でなし」本物の粋を感じた。


「弓道を通して日本の伝統、文化を世界に広めたい」
お二人が勤められている、アサヒ弓具店代表の小沼つた子さんは、力強い目をされている。
先代が昭和30年代後半からアメリカやヨーロッパなど諸外国へ赴き,弓道の指導など、実費で広めてこられた。
その弓道への熱い思いを彼女は引き継いでいる。今でも海外から先代を偲んで来店されるお弟子さんが大勢いらっしゃるそうだ。
ここには、日本の忘れてはならない、本来あるべき精神が今も生き続けている。


2009年3月17日追記
アサヒ弓具さんの先代の社長さんは日本武道館の発案、予算請求などに関わり、天皇陛下にもパラリンピックにてアーチェリーの説明を行ったことがあるそうです。
創業100年以上のまさに弓道と一緒に歩んでこられた伝統的なお店です。

 

 

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